Florida2アップデートから早一か月、検索順位が変動し突然圏外に飛んだ、アクセスが激減したなどブログ界に激震が走りました。
さまざまなブログやサイトを見渡して何が起こったのかを総括し、検索順位を回復するための対処法について考えていきます。
Florida2アップデートとは
Florida2アップデートとは3月12日にGoogleが実施した大幅な検索順位決定アルゴリズムのアップデートです。
Googleは日々のアルゴリズムの改良に加え、大幅なアルゴリズムの変更を何回も行っています。今回の変更はGoogleではMarch 2019 Core Update(2019年3月コアアップデート)と呼ばれています。
Florida2アップデートという名前はGoogleが正式に命名したものではありません。こちらの記事によれば命名者は WebmasterWorldのBrett Tabke氏だということです。
Googleはコミュニティが固有の名前をつけることを認めていないということではないので、今回のアップデートについてはこれからFlorida2アップデートという命名が浸透していくのではないかと思っています。
大きなアップデートだけでも年に相当な数が実施されていますが、今回はFlorida2アップデートという固有の名前がコミュニティによってつけられました。それだけ影響の大きなコアアップデートだったということになります。
Googleのアナウンス付きコアアップデート
今回のコアアップデートはGoogleからTwitterでアナウンスがありました。
This week, we released a broad core algorithm update, as we do several times per year. Our guidance about such updates remains as we’ve covered before. Please see these tweets for more about that:https://t.co/uPlEdSLHoXhttps://t.co/tmfQkhdjPL
— Google SearchLiaison (@searchliaison) 2019年3月13日
先ほどの記事によれば3月12日から検索順位の変動が観測され、その1日後に「今週コアアップデートを行った」というGoogleからのTwitterでの表明があり公式に確認されたという流れでした。
ちなみにFlorida1アップデートは2003年11月に行われたかなり昔のもので、今回のFlorida2と内容的には全く関係の無いものです。
Florida1アップデートはPubConという米国内でも大掛かりなSEO・SEM関連イベントがFloridaで行われていた最中にきました。今回のアップデートもPubConイベントの後に行われたものだということでFlorida2と命名されたというのが命名理由です。
先にも書きましたがGoogleは日々のアップデートに加えて大きなアップデートもたびたび行っています。しかしコアアップデートを施したというアナウンスを毎回出している訳ではありません。むしろそのようなアナウンスがあることは稀です。
まずは何が起こったのかを総括し、記事後半ではもう一度振り返ってこれから何ができるのかを考えていきます。
それではひとまず今回のアップデートの影響を見ていきましょう。
検索順位が圏外まで飛んだサイトも
Florida2アップデートの影響はすぐに現れ、PVが激減したという報告が相次ぎました。
またアフィリエイトサイトを運営していた方からは、メインのキーワード検索で検索結果の表示順位が圏外まで飛んだという報告もあがっています。これはもう死活問題ですね。
ブログへの影響
はるなぴがあちこちのサイトを見て回ったところ、ブログではアクセス数が1/3程度減少したという報告が多いように見受けられました。だいたいが雑記ブログと呼ばれるサイトです。
中にはPVが1/10にまで激減したという報告も見られます。
Googleサーチコンソールでの表示回数の減少度合いが物凄いことになっていますね。
サーチコンソールでのGooglコアアップデートの確認方法
初めての方は影響度合いをどうやって確認するのか不慣れかもしれないと思い念のため確認方法を記載しておきます。
Googleサーチコンソールのメニューで「サマリー」を選択するとトップに検索パフォーマンスというグラフが表示されます。
この画面で「レポートを開く」をクリックするとクリック数や表示回数を表すグラフ画面に切り替わります。
規約により詳細画面を掲載することができませんが、はるなぴの場合は2019年4月現在デフォルトで過去3か月間の表示期間となります。
Florida2アップデートにより顕著な影響があればこの画面で確認ができます。2019年4月現在ですと顕著な減少があった場合にはちょうど見やすい感じのグラフになると思います。3月12日を境に右肩下がりのグラフが表示される筈です。
ちなみに、はるなぴのブログでもクリック数、表示回数ともに1/3程の減少が見られます。最初は微増かなと思っていたのですが時間の経過とともに徐々に変化が現れました。底は3月末でした。回復したのは施策の効果があったのかどうかは分かりません。後半で書きます。
平均掲載順位のアップは喜べない
なお平均掲載順位のグラフを表示させてみると、むしろFlorida2アップデートを境に微増となっていることが多いのではないかと思います。はるなぴのブログも上がっています。先ほど紹介したサイトもそうでした。
通常は検索順位が上がればクリック率も上がりますので喜ばしいことですが、今回のコアアップデートでは素直に喜ぶことはできません。いくつか下位表示されていたページが圏外まで飛んだことにより平均の順位が上がっただけ、という構造になっていると思います。
クリックを稼いでいた主要なページの検索結果の表示順位が圏外まで飛ぶようだとサイト全体のアクセス数に大きな影響を及ぼします。そのあたりの割合によりアクセスの減少度合いがサイト毎に違ってくるのだと思います。
微減で分かりづらい場合
Florida2アップデートの影響があまり無い場合はサーチコンソールでの表示期間を変えて確認してみてください。
先ほどデフォルトでは期間が3か月で表示されると書きましたが、ボタンをクリックすると表示期間を変更することができます。はるなぴの場合は12か月表示にすると非常に分かりやすく表示されます。ずっと右肩上がりできたグラフが3月12日を境に徐々に減少に転じています。
3月12日にズドンとアクセスが落ちた場合には3か月表示でも分かりやすく表示されていると思います。しかし、はるなぴのように徐々にアクセス数減が進んできた場合は分かりにくいです。
今まで見ていなかった方はFlorida2アップデートから1か月ほど経った今がちょうど良い確認の機会となるのではないかと思います。ぜひ長期間表示で確認してみてください。
合計表示回数と合計クリック数の比較
ちなみに合計表示回数と合計クリック数も同時に表示して比較してみましょう。
はるなぴの場合、合計表示回数は確かに下がっていますが、合計クリック数はそれと同じようには下がっていません。表示回数ほどには減っていないのです。
Florida2アップデートの前まではこの2つのグラフ線の相関はとても高いです。それぞれ上下動はありますが、長期で表示させてみるとほとんど重なっています。それが3月12日を境に乖離するように見られます。今はまた相関は一致しています。
これはFlorida2アップデートによって、Googleが検索エンジンで表示させるべきものを表示させ、そうでないものは相対的に評価を落とした(正確には上げるべきページを上げた)ということを表しています。
より少ない検索エンジンへの表示でそれ程減らないクリック数を今は得られているからです。つまりGoogleから見れば精度が上がったということになります。これに伴いクリック率も若干の上昇が見られます。
Googleアナリティクスによる詳細な影響の確認方法
更に詳細にFlorida2アップデートの影響を確認する方法について書いておきます。
Googleアナリティクスとサーチコンソールの連携が済んでいることが前提です。もしまだ連携していない方は是非連携しておくことをお勧めします。
まずGoogleアナリティクスを見ます。
「集客」から「Search Console」→「ランディングページ」と進みます。
この画面でも表示期間を長めにとると、ここ1か月間の変化を分かりやすく表示することができます。右上の表示期間の部分を調整します。
次に「クリック数」の部分をクリックしてクリックの多い順に並べ替えます。
これで検索エンジン経由でのアクセスの多い順にページが並びます。
次にアクセスの多い順に1ページづつ丁寧にアクセスの増減をグラフで見ていきます。Florida2アップデートのあった3月12日を境にアクセス数が変化していないかと見るわけです。
そうするとFlorida2アップデートの影響をまったく受けていないページ、あまり受けていないページ、思い切り受けているページが分かります。
はるなぴのサイトでもまったく影響のないページがたくさんあります。むしろアクセスは伸びていたりします。一方で3月12日を境にガクンと下がっているページもあります。これがFlorida2アップデートの影響を受けたページです。
このようなページをひとつひとつ確認していくことでFlorida2アップデートで何がどう評価され直したのかヒントをつかむことができます。サイト内のページ数が 多いとこの方法はちょっと大変かもしれません。
Florida2アップデートで検索順位が飛んだ理由
Florida2アップデートで検索順位が激変した理由について特化サイトと雑記ブログに分けて考えていきます。
まずは特化サイトです。
特化サイトの検索順位変動理由
特化サイトとはある特定のテーマに内容を絞っているサイトです。アフィリエイトサイトに多いです。その方が検索エンジンで上位表示しやすいからです。
今回のFlorida2アップデートではホワイトSEOといって特段悪質なSEOをやっていないアフィリエイトサイトが多大な影響を受けたことが話題となっています。
なぜブラックSEOをやっていない良質な(と思われていた)サイトが影響を受けたのか?
それはもうあちこちで話題になっていますからあまり詳しくは書きませんが、いやゆるYMYLにまたメスが入ったということになります。
YMYLとは
YMYLとはYour Money Your Lifeの略で、お金と生活に関して特に信頼性が大切な情報のことです。
以下のようなテーマがYMYLにあたります。
- 金融(株式投資、銀行、クレジットカードなど)
- 医療(病気、美容、メンタルヘルスなど)
- 法律(離婚、養子縁組など)
- 公式情報(ニュース、プレスリリースなど)
この他に転職など労働市場などもYMYLに入る可能性があります。
Florida2アップデートでのYMYL評価
Florida2アップデートでは更にYMYL評価が厳しくなったと考えられます。
今まではブラックなSEOを施さずに一生懸命記事やサイトの品質を高めれば、それほど権威がなくともYMYLについて書いたサイトをある程度上位表示できていたと考えられます。
今「権威」と書きましたが、検索結果の品質で大切な指標はいわゆるE-A-Tです。E-A-TとはE:Expertise(専門性)、A:Authority(権威性)、T:Trustworthiness(信頼性)で、これらが充たされることでサイトの評価が上がります。
今回のアップデートでは公式サイトや企業サイトが順位上昇し、個人のアフィリエイトサイトが下落するという影響を受けました。
今後YMYLに関わる情報については注意が必要かと思います。権威の高いサイトが存在しない領域を狙うなど(そこにも権威が現れればあっと言う間ですが)何らかの工夫をしなければ難しいと思います。
雑記ブログの検索順位変動理由
次に雑記ブログについて考えてみましょう。
雑記ブログでは収益化のためにYMYL情報を書いたページを織り込んでいるサイトは多いと思います。
先ほど紹介したサイトもそうですが、その比率が高いサイトは影響が大きかったと考えられます。
雑記ブログの場合はYMYL情報だけでサイトが出来上がっているわけではないのでアクセスが激減することは少ないと思います。ただ収益をYMYLページに頼っている場合は思い切り減ってしまうということになります。
はるなぴのサイトではYMYLに関するページは今のところ全く無いので影響はそれほど大きくありませんでした。影響の出たページを先に書いた方法で調べたところ次のことが分かりました。
- 競合の激しいページで検索順位が落ちている
- 1ページ目(10位以内)から2ページ目への下落でアクセス数減
もともと上位表示できていなかったページに影響が出ています。低品質なコンテンツとみなされている可能性があります。
また1ページ目から2ページ目に検索順位が落ちたページがありここでアクセス数が減っていると分かりました。はるなぴのサイトはまだページ数があまりないのでこれだけのことで結構影響があります。
しかし逆にページ数が少ないので影響がどこにどう出ているか分かりやすいというメリットもあります。
また、旬の情報ではなくなったページやカテゴリのテーマと一致していない内容のいページで検索順位の変動が起こっていました。
雑記ブログではFlorida2アップデートによりサイト全体のテーマとの整合性も問われていると思います。
サイトテーマの整合性とは
要はそのサイトが何について書かれているのかということ、そのテーマと各々のページに書かれている内容が一致しているのかどうか、ということです。
雑記ブログではさまざまな記事を書くことが多いのでサイトテーマがあやふやになりがちです。特化サイトの逆ですね。
雑記ブログにすればネタ切れに困ることがなくなりますし、(今までは)YMYLに関わるページを織り込んでアフィリエイト広告を入れたりAdSense広告を張ったりして収益化することもそれほど難しくなかったと思います。
はるなぴも投資や転職は経験していますので、このサイトに株や転職などに関するページを入れてAdSense広告を張ることもできました。しかしこれからは、何でもありの雑記ブログでGoogleから高評価をもらうことは難しくなってくると予想しています。
自由に書きたいのなら収益度外視の雑記ブログを別に立ち上げるのが良いと思います。
検索順位変動でアクセスが激減した時の対処法
ブログを運営しながらの対処なので難しい面もありますがご参考にしていただければ幸いです。
はるなぴの対処法
テーマの整合性を中心にカテゴリ分けを修正しました。またグローバルナビゲーションの部分も手を入れました。
できるだけページに書かれている内容の上位の概念がカテゴリ名となるように仕分けしたのですが、最初に設計しておくならともかく後からこれを考えるのは結構大変ですね。
結果としては、4月に入りFlorida2アップデートの前と同じ程度のアクセス数まで戻ってきています。
ただしこの結果が単なるアップデートの揺り戻しなのか、それとも施策の効果が出たのか判断するにはまだ早いと思います。もう少しじっくりと見ていく必要があるでしょう。
雑記ブログでの対処法
雑記ブログである程度まとまったテーマに纏められるものは思い切ってブログを分けるのも良いと思います。
また今回検索順位が変動し飛んでしまったページは削除するという手も効果がありそうです。
とにかくたくさん記事を書いてアクセスを集めれば何とかなるという従来から勧められている手法は見直しが必要な時期に来ていると思います。
今後の課題
雑記ブログだと気軽に書けてネタ切れもなくいいかなと思いブログを書いていましたが、あまり何でもかんでも書ける状況ではなくなってきました。
サイトのテーマを絞り過ぎるとマニアックになってネタ切れしそうですし、かと言って広すぎると曖昧な感じになり設定が難しいです。
これって雑誌の内容を決めるのに似ているかもしれません。あまりマニアックな内容にしてしまうと買ってくれる読者の数が減ってしまうし、かといって広く浅い内容にしてしまえば今度は魅力がなくなってしまいます。
サイトの権威性についても課題を感じます。
大学や研究機関、有名企業で本でも執筆しているのなら専門性も権威性も信頼性も元から備わっているものと思います。しかしそうではない一個人がブログで発信するときにどうやって権威性や信頼性を得るのか…名も無き一人の人間がブログでどんなに発信しても結局権威のあるところには敵わず、検索結果では埋もれてしまうのでしょうか。Googleはネットの民主主義はうまく機能すると言っていますが工夫が必要かなと感じます。
オリジナリティーについても課題がありますね。自分の体験を備忘録代わりに書いていけばオリジナリティーが備わっているのだ、と思っていました。完全コピーならともかく表現は自分のオリジナルなものになっている筈だと考えたからです。
でもGoogleから見ればそれだけでは不十分なようです。今まで誰も表現していないようなオリジナルなコンテンツでなければ二番煎じとみられてしまう、ぐらいに捉える必要があると感じました。
検索順位変動に耐えられるブログに成長するためにはまだまだやることがたくさんあるようです。今回のFlorida2アップデートはいろいろなことを教えてくれる良い機会となりました。
しばらくサイトを更新していなかったのはFlorida2アップデートの影響を見極めるためにいろいろと調べたりしていたからです。今の対処法がどの程度効果が続くか分かりませんが、とりあえずこのまま記事を増やしていこうと思います。 続きはまた別の記事でご報告したいと思いますので、お楽しみにお待ちください!